自転車のことじゃないんだ
入院中の話を少し
会社を1ヶ月休む、なんて初めてのことです。
入院中は暇だ、と皆が言うので、ここぞとばかり本をたくさん持ち込んでいました。
が、実際は、傷が痛むうえに体力も低下していて、同じ姿勢がとれず、持っていったうちの半分しか読めませんでした。
長い本を読むには、それなりの体力がいるんですねぇ。
結局、一番の時間つぶしになったのは、テレビの昼ドラマでした。
いくつかがんばって読んだ中で、いちばん良かったのはとってもベタなこの本でした。
ツールドフランス7連覇、ランス・アームストロングの著作、
『ただマイヨジョーヌのためでなく』
かなり有名な本ですが、今まで読んだことがありませんでした。
文庫で発売になっていたので、この機会に買ってみました。
原題でも、 ”It’s not about the Bike”自転車のことじゃないと言っている通り、癌と戦って克、、服してツールで勝つまでのことを書いた本です。
入院中というのは、自分の病状と身体のことだけを考える期間でもあり、
夜、眠りが浅かった、
微熱が出た、
お通じの時間がヘンだった、
病院食がすっきり消化しなかった、
などなど、ちょっとしたことに敏感になります。
大部屋だったので、いろんな症状の方がまわりにいます。
抗癌剤を投与されている方がすぐ近くにいたり、ました。
退院時期が見えているというのは、まだ幸せなことなんです。
自分も病中だけど、まわりにもいろんな病気が繰り広げられる環境で気持ちを高揚させるのは簡単なことではありません。
早く自転車乗れるようになりたいなぁ。
ちゃんと傷跡治るのかなぁ。
うつうつと考えたりします。
ツールでこれだけの戦歴を挙げた人の話だから当然かもしれないけれど、ランスの文章は強い。
レースの1週間前に事故で怪我してもそれを押して出て勝ったりとか、えええっというような内容はさておき、この本の一番の山場は、抗癌剤の副作用のくだり。
抗癌剤は癌を殺すけれど、正常な細胞も殺してしまう。
直接触れたりすると猛毒だったりする。
毒を飲んで、毒を制すには、あとは本人の体力&気力で持ちこたえるしかない。
読んでいて胸が苦しいくらいの症状がずらりずらりと続く。
それを乗り越えてツールで勝つんですから、すごいことです。
ランスと同じように(!)がんばるのは自分には無理だけど、癌を克服して活躍している姿にじわりと感動しました。
気持ちの高揚にはとても良い本です。
まわりで入院する方がいたら、自転車好き嫌いにかかわらず、おすすめです。
ただ、難を言うと、その後がちらりと気になりました。
体外受精で子供を作ったエピソードもこの本のもうひとつの山場。
奥さんはえらい。すごい。
妊娠するために自分で自分に毎日、注射をしたり、かなり大変そう。
同じ女性だからか、なかなか身につまされる。
体外受精ってこんなにたいへんなものだとは知らなかった。
ここまでがんばって子供を授かって、ツールにも勝って、栄光と幸せの絶頂!というところで本は終わっている。
今となっては、このときの奥さんとは別れちゃったんだよなぁ。。
>>なんでかなぁ?
「ランスは、わがままだからな」 とダンナ。
ふーん。
そういうもんかなぁ。
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